2026年02月16日

決算開示業務を可視化!マニュアル化のコツ

目次

上場企業における決算開示業務は、専門的な知識と緻密なスケジュール管理が求められる重要なタスクです。中でも準備から提出に至る一連の事務作業は、一定の経験を積んだ担当者が「阿吽の呼吸」で進めているケースが少なくありません。

経験があるからこそ、次に何をすべきかを感覚的に理解しており、特段教わらなくても業務が回ってしまう。こうした状況は、一見するとスムーズに業務が進んでいるように見えますが、実は「属人化」という大きなリスクを孕んでいます。

もし、開示業務を一手に引き受けていた担当者が急遽退職したり、異動になったりしたらどうなるでしょうか。後任となった経験の浅い担当者は、具体的な作業手順がわからず、混乱の渦に突き落とされることになります。こうした不測の事態に備え、事務作業といえども、誰でも再現できる「マニュアル」の整備が不可欠です。

今回は、決算開示業務における「準備」から「提出」までの事務作業に焦点を当て、具体的なマニュアル作成のポイントをご紹介します。

煩雑な「準備作業」を可視化・マニュアル化する

決算開示業務のスタートラインは、書類の作成そのものではなく、その前段階にある膨大な準備作業にあります。

  • 開示スケジュール全体の策定
  • 開示項目ごとの担当者アサイン
  • 関連部署との事前打ち合わせ
  • 開示システム(WizLabo等)内での決算情報・環境整備
  • リンク設定の追加や確認作業

 

まずは、決算開示業務を行うにあたってのさまざまな準備が必要となります。
これらの準備作業は、何度も経験しているベテランなら頭に入っていますが、初めて担当する若手にとっては「何から手をつけていいか分からない」未知の領域です。

まずは、この準備段階で「何が必要か」を網羅的にリスト化したマニュアルを作成しましょう。

準備マニュアルの項目例

準備段階で明示すべき項目には、以下のようなものが挙げられます。

これらは事務的な作業ですが、一つでも欠けると本番の書類作成が滞り、最悪の場合は開示の遅延を招く恐れもあります。「何となく」で行っていた作業を一覧化し、全体の流れを明確にしておくことが、ミスのない開示への第一歩となります。

書類作成から提出までのプロセスを「フロー化」する

実際に書類作成が始まると、社内外のステークホルダーとの連携が急増します。

  • 書類のチェック依頼(宝研究部)
  • 関係部署へのチェック結果フィードバック
  • 監査法人への作成中書類の共有

 

これらの手順は、企業ごとの慣習やルールによって微妙に異なります。そのため、他社で開示経験があるベテランが転職してきたとしても、自社特有のフローを理解していなければ、スムーズに動くことはできません。ましてや経験の浅い若手担当者であれば、全体像が見えないまま作業に追われることになり、心理的な負担も大きくなります。

そこで有効なのが、作業の流れを視覚的に示した「フロー図」の作成です。

「いつ」「誰が」「何を」行うのか、そして「誰の承認が必要か」をフロー図に落とし込むことで、作業のタイミングがひと目で分かるようになります。これにより、チェックの漏れを防ぐだけでなく、各担当者が主体的に動けるようになり、業務効率が劇的に向上します。

また、作成したフロー図は、担当者全員がいつでも確認できる場所に置いておくことが重要です。例えば、WizLabo内の「共有メモ」などの機能を活用し、常に目に入る状態にしておけば、チーム全体の共通認識を維持しやすくなります。

まとめ

今回は、決算開示業務における「準備作業」のマニュアル化について解説しました。

開示経験者にとっての「当たり前」は、未経験者にとっては「未知の作業」です。作業を可視化し、マニュアルやフロー図を整備することは、一見すると手間のかかる作業に思えるかもしれません。しかし、属人化を解消し、誰でも滞りなく業務を引き継げる体制を作ることは、企業のリスク管理において極めて重要な投資といえます。

スムーズな開示業務を実現するために、まずは現在の作業の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

葛西 一成

葛西 一成

株式会社IS経理事務所 代表取締役(元上場企業経理部長)

東証プライム・グロース上場企業2社で経理部長を務めた後、独立開業。現在は上場企業の決算業務支援や会計関連システム開発・導入のアドバイザーを行うとともに、経理実務セミナーの講師としても活動中。著書に『経理のExcelベーシックスキル』(中央経済社)、『組織を整え人材を活かす 強い経理の作り方』(税務研究会出版局)がある。

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