2025年11月17日

連結決算を効率化!子会社経理の管理事例3選(前編)

目次

子会社を有する企業では、経理業務の効率的な運用は、連結決算や開示の正確性とスピードを左右する大切な要素です。
親会社の規模や経営方針、社風によって、その管理方法は実に様々で、どの形が自社に合っているのか悩まれることもあるかもしれません。

本稿では、親会社が行う子会社経理の管理方法を3つの主要なパターンに分けてご紹介し、それぞれが日々の連結・開示業務にどのような影響をもたらすのかを詳しく解説いたします。ご自身の会社がどのタイプに近いか、考えながらお読みいただけると幸いです。

1.親会社主導型

グループ全体での運用の統一により、効率性と品質向上を目指すアプローチ方法です。
このアプローチは、親会社が中心となり、経理業務のルール作りや会計システムの導入を進め、グループ全体で運用を統一・標準化を図るものです。親会社が作成した経理規定や業務マニュアルが子会社にも共有され、グループ共通の会計処理や勘定科目ルールに則って業務を進めることになります。親会社の経理部門から子会社へ専門の担当者が出向し、現地でサポートを行うケースも珍しくありません。
これにより、子会社側は親会社の豊富なノウハウを活用でき、一から経理体制を構築する手間が省けるという大きなメリットがあります。

連結・開示業務への影響

このタイプでは、グループ全体で会計処理が統一されているため、連結パッケージ(連結決算に必要な情報を集約するフォーマット)の収集や集計作業を非常にスムーズに進めることができます。よくある勘定科目の不一致による調整や、連結消去仕訳におけるミスも発生しにくく、結果として決算開示の迅速化に大きく貢献するでしょう。
一方で、親会社のルールに厳格に従う必要があるため、子会社固有の事情に対して柔軟な対応が難しい場面もあるかもしれません。

2.子会社裁量型

グループ全体の標準化を必要最低限とし、子会社の裁量を活かす方法です。
子会社の経理業務や会計システムの選定はそれぞれの子会社に任せ、親会社は連結決算に必要な情報(連結パッケージ)の収集に最低限関与する、というものになります。この方法は、子会社数が非常に多い大企業や、M&A(企業の合併・買収)が活発に行われ子会社の増加が続く企業でよく見られます。
子会社の自主性を尊重することで、それぞれの状況に応じた最適な経理体制を築ける利点があります。

連結・開示業務への影響

子会社の自主性を尊重する一方で、親会社からのサポートは限定的となります。開示業務においては、子会社ごとに異なる会計システムや業務プロセスに対応するため、連結パッケージの収集や内容の検証に細心の注意が必要です。
親会社の会計基準や開示ルールとの整合性を確認する手間が増えるため、子会社経理部門との密な連携が何よりも重要になるでしょう。子会社としても、経理人材の確保や育成が重要になってきます。

3.親会社完全管理型

リソース活用を目指し、親会社が子会社の経理業務も担う方法です。
子会社が2〜3社程度と比較的少なく、かつ子会社側に決算業務を行える経理担当者が不在の場合や、子会社の規模が小さく専任の経理担当者を置く必要性が低い場合に採用されます。親会社の経理担当者が複数の子会社の経理業務を兼務し、グループ全体の経理業務を効率的に集約するイメージです。
これは、いわゆる「シェアードサービス」のように、経理機能を親会社に集約する形とも言えます。

連結・開示業務への影響

この管理方法では、親会社の経理担当者が複数の子会社の業務を担うことで、人件費の最適化と、グループ全体の経理業務を標準化する効果が期待できます。親会社の担当者が全ての業務を把握しているため、連結決算時の情報共有は非常にスムーズで、子会社からの情報収集やチェックの手間も大幅に削減できるでしょう。
ただし、親会社の経理担当者様にかかる業務負担は非常に大きくなるため、適切な人員配置と無理のない業務分担が、連結・開示業務の品質を保つ上で大変重要になってまいります。

まとめ

今回は、親会社が行う子会社経理の管理方法を、主に「親会社主導型」、「子会社裁量型」、そして「親会社完全管理型」の3つのパターンに分けて、それぞれの特徴と、皆様の連結・開示業務への影響についてご紹介いたしました。
ひとえに子会社管理といっても様々な管理方法が存在することがご理解いただけたかと思います。

次回は、それぞれの管理方法が、子会社様、ひいては親会社の連結決算や開示業務に具体的にどのようなメリットやデメリットをもたらすのかを、さらに掘り下げて解説してまいります。

執筆者紹介

葛西 一成

葛西 一成

株式会社IS経理事務所 代表取締役(元上場企業経理部長)

東証プライム・グロース上場企業2社で経理部長を務めた後、独立開業。現在は上場企業の決算業務支援や会計関連システム開発・導入のアドバイザーを行うとともに、経理実務セミナーの講師としても活動中。著書に『経理のExcelベーシックスキル』(中央経済社)、『組織を整え人材を活かす 強い経理の作り方』(税務研究会出版局)がある。

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